転職12社目・ナルコレプシー。隠さず伝えて内定した話

転職12社目・持病あり。隠さず伝えて内定した20代の話

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。

Dさん

「こんな複雑な職歴の自分を、他の会社が雇ってくれるわけがない」

そう振り返ってくれたのは、Dさん(20代・女性)。
アルバイトを含めると、これまで経験した職場は12社。ナルコレプシーという持病を抱え、さらに借金の整理という重い手続きも進めながら、体調と生活とお金の不安が同時に押し寄せる中で働き続けていました。

そのDさんが、相談を始めて約半年。

持病のことも、障害者手帳を申請中であることも、すべて開示したうえで内定を獲得しました。

どうも、パロです👺

今回はDさんご本人の許可をいただき、動けなかった時期から、軸づくり、内定辞退、そして「隠さずに伝える」という決断までの半年間を、インタビュー形式でお届けします。

この記事では、病名も、お金の手続きのことも、Dさんご本人の希望で伏せずに書いています。
「同じ状況で苦しんでいる人に、いちばん届いてほしいところだから」というのが、その理由でした。

転職回数の多さへのコンプレックス。持病を伝えるべきか隠すべきかの板挟み。
お金の不安で目先しか見えなくなる感覚。
何から手をつければいいのか分からない状態。

どれかひとつでも当てはまるなら、Dさんの言葉がきっと役に立つはずです。

📌 この記事で分かること

  • 不安が多すぎて動けない時は、転職より先に「生活の土台」から手をつけるという順番
  • お金の手続きと転職活動を同時に走らせない方がいい理由(と、知っておくと安心な3つのこと)
  • 「やりたいこと」が分からなくても軸は作れる——「興味があるか」より「無理なく続けられるか」という基準
  • 持病を「採用されるため」ではなく「長く続けるため」に伝えるという考え方と、その結果
  • 転職回数12社・持病ありでも、未経験職種で納得の内定にたどり着いた半年間の全プロセス

結論:変わったのは経歴ではなく、選び方と受け止め方。焦って妥協しないことと、諦めないこと。Dさんが半年でやり切ったのは、この2つだけです。


目次

Dさんのプロフィール

Dさんのプロフィール|転職12社目・持病あり。20代女性Dさんの半年
アルバイト含め12社。持病を抱えながらの半年間の記録
  • 年齢・性別:20代・女性
  • 職歴:アルバイトを含めて12社目。新卒で入った会社で適応障害となり、休職を経て退職。その後はアルバイトを転々とする
  • 相談時点の仕事:建設系の人材派遣会社で施工管理の補助(正社員)
  • 健康面:適応障害の既往に加え、相談を始める2年ほど前にナルコレプシー(日中に耐え難い眠気や居眠りが繰り返し起こる睡眠障害)と診断。投薬でコントロールしながら勤務。転職活動中に障害者手帳を申請
  • お金の状況:相談開始時は、任意整理を経て自己破産の手続きを進めている最中。相談を始めて間もなく、手続きはひとつの区切りを迎えた
  • 相談期間:約半年(チャットでの伴走)
  • 結果:会計事務所の税務スタッフ(未経験)に内定。完全週休二日・日勤・フレックスの職場

ここからは、Dさんとパロの会話でお届けします。

第1章|相談前:考えることが多すぎて、動けなかった

第1章 相談前|考えることが多すぎて、動けなかった
仕事・お金・引っ越し・体調——全部が同時に押し寄せていた

まずは、相談に来てくれた当時のDさんの状況から。

パロ

パロ:転職を考え始めた頃は、どんな状況でしたか?

Dさん

Dさん:「とにかく現職から離れたい気持ちが強かったです。でも生活のためには働き続けなければならなくて、金銭面もメンタル面もかなり追い込まれていました。朝起きるのもつらくて、電車では立ちながら寝てしまうこともありました。休日は一日寝て過ごすか、何もできず天井を見つめているだけの日もありました」

パロ

パロ:ここで少しだけ補足させてください。この「立ったまま寝てしまう」は、気合いや根性の問題ではありません。Dさんが抱えているナルコレプシーの症状のひとつです。日中に耐え難い眠気や居眠りが繰り返し起こる睡眠障害で、Dさんは相談を始める2年ほど前に診断を受け、投薬でコントロールしながら働いていました。

パロ

パロ:抱えていたのは、仕事のことだけではなかったですよね。

Dさん

Dさん:「仕事、お金、引っ越し、体調と、考えることが多すぎて。これからどう生きていけばいいのか分からず、不安や諦め、家族への申し訳なさを感じていました」

パロ

パロ:その中でも、一番の重荷だったのは何でしたか?

Dさん

Dさん:「どれも重かったのですが、一番はお金の不安でした。当時はお金の知識がほとんどなくて、勧められるまま任意整理をして、それでも状況が改善せず、自己破産の手続きを進めている最中でした。通帳残高を毎日のように確認して、1円単位で生活費を計算する日々です。自分の病院代はとにかく後回しで、『愛犬に何かあった時だけはお金を出せるようにしなければ』という思いだけで踏ん張っていました」

パロ

パロ:当時、ご自身の職歴についてはどう感じていましたか?

Dさん

Dさん:「アルバイトも含めると12社目で、『こんな複雑な職歴の自分を他の会社が雇ってくれるわけがない』と感じていました。転職回数が多いことに強いコンプレックスがあって、『何をしてもまた失敗するかもしれない』という恐怖もありました。『適職診断』と何度も検索していたくらい、自分に向いている仕事が分からなくなっていました」

パロ

パロ:相談してみようと思ったきっかけは何でしたか?

Dさん

Dさん:「とにかく誰かに話を聞いてほしかったんです。でも、ただ聞いてもらうだけではなく、どうすればいいのか一緒に考えてほしいという思いもありました。考えることが多すぎて何から手を付けたらいいのか分からず、一人で抱え込むことに限界を感じ始めていました。適応障害を再発してしまうのではという怖さもありました」

パロ

パロ:相談する前に、不安だったことはありますか?

Dさん

Dさん:「『怠けているだけじゃないか』『頑張りが足りないと思われるのではないか』と、自分を否定されることが怖かったです。それでも一人ではどうしていいのか分からず、勇気を出して相談してみようと思いました」

👺 パロのひとこと解説

相談前のDさんは、決してサボっていたわけではありません。むしろ、限界まで働き続けていました。

まず、体調のことを先に書かせてください。
ナルコレプシーの眠気は、寝不足の眠気とは種類が違います。

意志だけで抑えるのが難しいほど強くなることがあり、食事中や歩行中など、ふつうは眠らないような場面で居眠りしてしまうこともあるとされています。Dさんの「電車で立ったまま寝てしまう」も、その延長線上にありました。
それを「気が緩んでいる」「やる気がない」と受け取られると、本人はもう一段深く自分を責めることになります。

Dさんが病名を出すことを選んだのは、まさにここでした。
同じ症状で「自分が怠けているだけかもしれない」と思い込んでいる人に、それは性格の問題ではなく、治療と付き合い方の話だと知ってほしい—というのが、ご本人の希望です。(症状の現れ方や程度には個人差があります。症状や治療の判断は、必ず医療機関でご相談ください。)

そして、もうひとつ。動けなくなるのは、意志が弱いからではなく、抱えている荷物が多すぎるからです。

仕事・お金・住まい・体調が同時に来ると、人は優先順位をつけられなくなります。優先順位がつけられないと、どれにも手がつかない。これは意志の問題ではなく、構造の問題です。

特にお金の不安は、視野をいちばん狭くします。
Dさんが建設業界に飛び込んだ理由も、正直に言えば「紹介金がもらえることに惹かれたから」でした。
1円単位で生活費を計算している状態で求人を見れば、誰だって目先の金額で決めてしまいます。

「また同じ失敗を繰り返す」の入り口は、たいていお金の焦りです。

もうひとつ、Dさんが打ち明けてくれた「否定されるのが怖かった」という気持ち。
相談のハードルを上げているのは、実は悩みの重さではなく「こんなことで相談していいのか」という後ろめたさだったりします。パロのところにも、「くだらない相談ですみません」から始まるメッセージが本当によく届きます。くだらない相談なんて、ひとつもありません。

📖 不安が多すぎて動けない時、何から手をつけるかは別記事で詳しく解説します。(※深掘り記事①公開予定)

第2章|整理:転職より先に、生活の土台を整えた

第2章 整理|転職より先に、生活の土台を整えた
住まい・睡眠・通院を先に整える。半年の前半はここに使った

Dさんからの最初の依頼は、「考えることが多すぎるので、優先順位のつけ方を教えてほしい」というものでした。

パロ

パロ:相談前は、ご自身で優先順位をつけられそうでしたか?

Dさん

Dさん:「正直、自分一人では整理することができませんでした。仕事、お金、引っ越し、体調と全部が同時に押し寄せてきて、『何から考えればいいのか』が分からなくなっていて。焦るあまり、あれもこれもと手を付けた結果、すべてが中途半端になっていました」

パロ

パロ:整理した結果、「生活の土台を整える」を最優先に決めましたね。その理由は?

Dさん

Dさん:「これまで何度も『無理をして体調を崩し、その結果すべてが崩れてしまう』という失敗を繰り返してきました。

その経験から『土台のない頑張りは長続きしない』と身をもって学んだんです。住まいや睡眠、通院など、まず生活の土台を整えなければ、その上に仕事や転職を積み重ねても、また同じことを繰り返してしまうと思いました」

Dさん

Dさん:「以前は整える前に動いてしまって失敗することが多かったので、今回は焦らず土台づくりを最優先にしようと決めました」

Dさんの場合、この「土台」には、進行中だったお金の手続きも含まれていました。
相談を始めて間もなく、その手続きはひとつの区切りを迎えます。転職活動を本格化させたのは、そのあとです。

👺 パロのひとこと解説

「今すぐ辞めたい」と思っている時ほど、転職活動を最優先にしたくなります。気持ちはとても分かります。

でも、睡眠が崩れ、通院が後回しになり、住まいが定まらない状態で求人を見ると、判断力が確実に落ちます。落ちた判断力で選んだ会社は、また合わない可能性が高い。これが「転職を繰り返してしまう」いちばんよくある入り口です。

Dさんがすごかったのは、「早く辞めたい」を我慢して、住まい・睡眠・通院という地味な部分から着手したことです。半年という期間の前半は、ほとんどこの土台づくりに使いました。
遠回りに見えて、これがいちばんの近道でした。

お金の手続きと転職活動は、同時に走らせない

ここは、Dさんが「同じ状況の人に届けてほしい」と言ってくれた部分なので、少し丁寧に書きます。

任意整理・個人再生・自己破産などは、借金を整理する方法の総称として「債務整理」と呼ばれます。

個人再生と自己破産は裁判所を使う手続き、任意整理は裁判所を通さず債権者と交渉する方法です。どれも、生活を立て直すために用意された正規の手段。恥ずかしいことでも、人生が終わることでもありません。

Dさんも、任意整理では立て直せず、最終的に自己破産の手続きに進んでいます。

ただ、これを転職活動と同時に走らせるのは、正直かなりしんどいです。書類のやりとりや期日が続きますし、何より「早くお金を稼がなきゃ」という焦りが、そのまま求人選びの妥協につながります。Dさんが「先に土台」と決めた判断は、ここでも効いていました。

そのうえで、知っておくと少し気が楽になることを3つ。

  • 採用選考のために、企業があなたの信用情報を調べることはできません。
    クレジットやローンの記録(いわゆる信用情報)を照会できるのは、原則として加盟する金融機関などが、返済能力を調べる目的で行う場合に限られます。加盟企業であっても、採用の参考に使うことは認められていません。債務整理の事実を自分から申告する一般的な法的義務も、原則としてありません。
  • ただし、自己破産では、破産手続開始決定を受けてから復権するまでの間、一部の職業に資格制限がかかります。警備員、保険募集人、弁護士・税理士などの士業が対象です。会社員として働くこと自体が一律に禁じられるわけではありませんが、志望する職種にこの制限が直接かかわる場合は、順番や伝え方を考える必要があります。
  • 費用が不安なら、法テラス(日本司法支援センター)という公的な窓口があります。収入・資産などの条件を満たす場合に、無料の法律相談(原則として同じ問題につき3回まで)や、弁護士・司法書士費用の立替制度を利用できます。立替金は原則として分割で返済していく仕組みです。

※ここに書いたのは一般的な情報です。制度の適用や手続きの判断は、必ず弁護士・司法書士などの専門家にご確認ください。

Dさんが振り返って言っていたのは、「当時はお金の知識がほとんどなかった」ということでした。知識がないまま勧められるままに決めてしまい、結果として遠回りになった。

お金の悩みも転職の悩みも、知らないまま一人で決めるのがいちばん高くつきます。

第3章|軸づくり:「興味があるか」より「無理なく続けられるか」

第3章 軸づくり|「興味があるか」より「無理なく続けられるか」
大切にしたいこと5つを、絶対条件とNG条件に翻訳した

土台が整ってきた頃、Dさんと一緒に取りかかったのが「価値観の言語化」でした。自分が何を大切にしたいのかを、ひとつずつ言葉にしていく作業です。

パロ

パロ:価値観を言葉にしてみて、気づいたことはありましたか?

Dさん

Dさん:「価値観を言葉にしていく中で、『今まで働いてきた職場は、自分が大切にしたいことをほとんど満たしていなかったんだ』と気づきました。

同時に、これまで本気で『自分はどんな働き方をしたいのか』を考えたことがなかったことにも驚きました。転職先を探す前に、まず自分自身を知ることが、納得できる転職への第一歩なんだと実感しました」

Dさんが言葉にした「大切にしたいこと」は、優先順に次の5つでした。

  1. 生活と健康の安定
  2. 家族(愛犬)との時間
  3. 誠実さ
  4. 長く続けられる選択
  5. 自己投資・成長

そして、この5つを求人選びに使えるように「条件」の形へ翻訳していきました。

  • 絶対条件:生活が成り立つ収入/通勤は片道45分以内/日勤中心/完全週休二日/誠実に働ける環境
  • NG条件:夜勤・不規則シフト/経歴を書き換えるよう求められる/「バレなければいい」という社風/感情的な指示

「日勤中心」「夜勤・不規則シフトはNG」という条件は、Dさんにとっては好みの話ではありません。ナルコレプシーの症状管理では、十分な睡眠をとり、就寝・起床の時刻をできるだけ一定に保つことが大切とされています。

生活リズムが読めるかどうかは、Dさんにとって体調から逆算した譲れない一線でした。(適した働き方や必要な配慮には個人差があります。)

パロ

パロ:軸が見えてきた時は、どんな感覚でしたか?

Dさん

Dさん:「最初は『こんな条件に合う求人なんて本当にあるのかな』と不安でした。でも『もう同じ失敗はしたくない』という気持ちの方が強くて。“なんとなく良さそう”ではなく、自分の軸に合うかどうかで判断できるようになりました。

求人票を見る時も確認すべきポイントが明確になって、不安よりも安心感を持って転職活動を進められるようになりました」

パロ

パロ:Dさんは「焦って妥協するのが一番怖い」と話していましたね。

Dさん

Dさん:「これまでの転職では『少し我慢すれば大丈夫』『これくらいなら仕方ない』と条件を妥協してしまって、結果的に長く続けられず後悔することが何度もありました。

だからこそ『早く決めること』よりも『長く続けられる場所を選ぶこと』の方が大切だと考えるようになりました」

パロ

パロ:「興味があるか」より「無理なく続けられるか」を重視するようになったのは、どうしてですか?

Dさん

Dさん:「興味がある仕事でも、実際に働いてみると体調を崩して続けられなかった経験が何度もあったんです。持病を経験した今、『興味』は変わることがあっても、自分の体は替えがきかないと実感しています。

今は『続けられること』があってこそ、本当の意味でやりがいも生まれると考えています」

👺 パロのひとこと解説

「やりたいことが分からない」という相談は、本当に多いです。適職診断を何度も受けてしまう気持ちも、痛いほど分かります。

ただ、Dさんの言葉にはひとつの答えがあります。

興味は変わるけれど、自分の体は替えがきかない。
「好きかどうか」で選ぶと、体調や生活リズムとの相性が抜け落ちます。逆に「無理なく続けられるか」で選ぶと、判断基準が具体的になります。

日勤か夜勤か、通勤時間はどれくらいか、休みは読めるのか
どれも求人票で確認できることばかりです。

持病がある人ほど、この翻訳は強い武器になります。
「ナルコレプシーがあるので不安です」は求人票と照らし合わせられませんが、「日勤中心・シフトが読める・通勤45分以内」なら、その場で○×がつけられます。

体調の条件を、求人票の言葉に翻訳しておく。これだけで、選べる求人と選べない求人がはっきり分かれます。

やりたいことが見つかっていなくても、軸は作れます。
作り方は「過去にしんどかった瞬間」を書き出すところから。しんどさの共通点が、そのままNG条件になります。

📖 軸の作り方の手順は、別記事で詳しく解説します。(※深掘り記事②公開予定)

第4章|判断:軸に立ち返って、内定を辞退した

第4章 判断|軸に立ち返って、内定を辞退した
違和感は、軸がちゃんと働いている証拠だった

転職活動を本格化させた頃、Dさんは一度、別業種の会社から内定を得ています。条件面だけを見れば、決して悪い話ではありませんでした。
それでも、Dさんはその内定を辞退しました。

パロ

パロ:迷った時、どうやって軸に立ち返っていましたか?

Dさん

Dさん:「迷った時は一人で抱え込まず、相談しながら客観的な意見をもらっていました。条件や進め方が自分の『誠実でありたい』という気持ちに合わず、内定をいただいた会社を辞退したこともありました」

Dさん

Dさん:「軸と合わない提案が続くエージェントとは、無理に合わせるのではなく早めに距離を置く判断もできるようになりました。以前の自分なら流されていたと思いますが、自分の軸に立ち返ることを繰り返したことで、自分で納得できる選択ができるようになりました」

👺 パロのひとこと解説

内定を辞退するのは、想像以上に勇気が要ります。「次があるとは限らない」という恐怖があるからです。
転職活動が長引くほど、内定そのものが目的になっていきます。

まして、お金に余裕がない時期の「辞退」は、生活に直結する決断です。Dさんがここで踏みとどまれたのは、その前に土台を整えていたから。順番を守っておくと、いざという時に「断る」という選択肢が残ります。

内定はゴールではなくスタート地点。本当のゴールは「長く働けること」です。

違和感は、軸がちゃんと働いている証拠でもあります。Dさんが感じた引っかかりは、事前に言葉にしていた「誠実でありたい」という軸が反応した結果でした。

ちなみに、エージェントと合う・合わないは、相手の善し悪しの話ではありません。

転職エージェントは求人を紹介して成立したときに報酬が入る仕組みなので、構造として「決めてほしい」側に立ちやすいだけです。だからこそ、こちらの軸を最初にはっきり伝える。合わない提案が続くなら、距離を置いていい。エージェントは敵でも味方でもなく、使い方次第のパートナーです。

📖 内定辞退の判断基準とエージェントとの距離の取り方は、別記事で詳しく解説します。(※深掘り記事④公開予定)

第5章|決断:「採用されるため」ではなく「長く続けるため」に伝えた

第5章 決断|「採用されるため」ではなく「長く続けるため」に伝えた
病名・働き方の条件・必要な配慮を分けて、条件の形で伝えた

軸に立ち返ったDさんが次に出会ったのが、会計事務所の求人でした。未経験からの応募です。
ここでDさんは、大きな決断をします。ナルコレプシーという持病があることも、障害者手帳を申請中であることも、すべて開示して応募する——という決断でした。

パロ

パロ:隠すという選択肢もある中で、なぜ「誠実に伝える」を選んだのですか?

Dさん

Dさん:「持病を隠したまま採用されても、『嘘をついて入社した』という後ろめたさを抱えたまま働くことになるのが、とても不安でした。

『長く働きたい』という気持ちが一番強かったので、いつか何かの拍子に話してしまうのではないかという不安を抱え続けたくなかったんです」

Dさん

Dさん:「もちろん、自分にとって不利になることを伝えるのは怖かったです。でも『採用されるため』ではなく『長く続けるため』に、誠実に伝えることを選びました

パロ

パロ:実際に面接で話した時は、どんな気持ちでしたか?

Dさん

Dさん:「正直に話す瞬間は、とても緊張しました。相手の表情を見るのも怖くて、『嫌な顔をされたらどうしよう』『その場で評価が下がるんじゃないか』と不安でいっぱいでした」

Dさん

Dさん:「でも、話し終えた後、面接官の方は嫌な顔ひとつせず、自分の体調や働き方について真剣に質問してくださったんです。その姿勢が本当に嬉しくて、『ちゃんと私自身を見ようとしてくれているんだ』と感じることができました」

パロ

パロ:面接では、ご自身の強みについても話されましたね。

Dさん

Dさん:「前職でAIを業務に活用していた時、思っていた以上にまだAIが職場に浸透していないことを実感していました。

周りの方がAIをほとんど使ったことがない中で、自分はアプリを作るところまで挑戦していたこともあり、『これは自分の強みになるかもしれない』と初めて思えたんです」

パロ

パロ:今振り返って、あの選択はどうでしたか?

Dさん

Dさん:「本当にあの選択で良かったと思っています。後ろめたさを抱えずに働けることや、困った時に相談しやすい環境を、自分自身の選択で手に入れられたことが何より嬉しかったです。入社初日はもちろん緊張していましたが、不思議と『不安』はありませんでした」

👺 パロのひとこと解説

ここが、Dさんの半年間でいちばん大きな山場でした。

先に断っておくと、持病や既往歴は「必ず伝えるべき」ものではありません。伝えない選択にも、伝える選択にも、それぞれ理由があります。判断の基準は「正しいかどうか」ではなく、「自分が長く続けられるのはどちらか」です。Dさんの場合は、後ろめたさを抱えたまま働くことの方が、続けられなくなる要因でした。

伝え方にもコツがあります。病名から入ると、相手は判断材料を持てないまま不安になります。

「病名」「働き方の条件」「必要な配慮」の3つを分けて、条件の形で伝えると、相手は具体的に検討できます。
たとえば

  • 病名と現状:ナルコレプシーという持病があり、通院と投薬でコントロールできている
  • 働き方の条件:日勤で勤務時間が読める環境なら、支障なく続けられる
  • 必要な配慮:定期通院の日は時間を調整させてほしい

この3つに分けると、「不安な情報」ではなく「検討できる条件」として相手に渡せます。
Dさんの面接官が真剣に質問してくれたのは、Dさんが自分の状態と必要な条件を整理して話せたからでもあります。

そして、もうひとつ大事なこと。
Dさんは「開示したから受かった」のではありません。開示しても、ちゃんと見てくれる会社を選び抜いたのです。順番が逆です。

📖 持病を伝えるか隠すかの判断軸と、具体的な伝え方は別記事で詳しく解説します。(※深掘り記事③公開予定)

第6章|今:「あの頃と比べたら、ちょろいもんだぜ」

第6章 今|Before/Afterで見る、この半年の変化
半年前と今。変わったことをBefore/Afterで振り返る

書類選考を通過し、面接を経て、Dさんは内定を得ました。相談開始から、約半年後のことです。

パロ

パロ:内定の連絡をもらった時、どんな気持ちでしたか?

Dさん

Dさん:「最初は『えっ、本当に私でいいの?』という、信じられない気持ちでいっぱいでした。それでも、少しずつ喜びをかみ締める中で、『自分はちゃんと頑張れていたんだ』と初めて実感することができました。これまで悩みながらも諦めずに進んできたことが、ようやく形になった瞬間でした」

パロ

パロ:障害者手帳について、受け止め方が変わったと話していましたね。

Dさん

Dさん:「以前は、障害者手帳を申請したり持ったりすることで『自分は周りの人とは違う』『普通ではないんだ』と感じてしまい、劣等感につながっていました。でも、自分の持病や生きづらさと向き合ってきた中で、抱えているハンデを補い、前を向くために利用できる制度なら、使えるものは使っていいと思えるようになりました」

Dさん

Dさん:「手帳を持っていることが自分の価値を下げるのではなく、そう感じていたのは私自身の受け止め方によるものだったのだと思います。今では困った時に自分を守ってくれる『お守り』のように感じられるようになりました」

パロ

パロ:半年前の自分と比べて、一番変わったことは何ですか?

Dさん

Dさん:「抱えていた課題や不安が減ったことです。半年前はお金の手続きの結果も出ておらず、引っ越しについても決められず、転職活動も思うように進められない状況でした。それに加えて職場環境の影響で体調も不安定になり、悪循環の中で生活していました。今は手続きも完了して、引っ越しも終わり、転職も実現することができました」

Dさん

Dさん:「この半年間で自分の人生は大きく方向転換しました。振り返ると、自分でも『よく乗り越えられたな』としみじみ思います。あの時期を乗り越えられたからこそ、これから何か大変なことが起きても『あの頃と比べたら、ちょろいもんだぜ』くらいの気持ちでいられます(笑)」

パロ

パロ:同じような不安を抱えて悩んでいる方へ、伝えたいことはありますか?

Dさん

Dさん:「とにかく、一人で悩まないでほしいです。心が疲れている時の自分の判断は、本当に信用できないことがあります。誰かに自分の悩みを打ち明けるのは、とてもハードルが高いと思います。それでも『少し聞いてほしいことがある』『助けてほしい』と一言伝えるだけでも十分です」

Dさん

Dさん:「どうしても自分のこととして話しにくければ、『友人のことなんだけど……』と前置きして話してもいいと思います(笑)。身近に相談できる人がいないなら、新しく相談できる場所を探せばいい。大切な判断を、一人だけで決めないこと。これだけは守ってほしいです」

パロ

パロ:新しい職場では、どんな自分でいたいですか?

Dさん

Dさん:「最終的な目標は『あなたがいてくれて良かった』と言ってもらえる存在になることです。目の前の仕事に誠実に取り組みながら、自分自身の心や体も大切にして、無理をして働き続けるのではなく、長く安心して働ける自分でいたいです。そして何より、楽しみながら働いていきたいです」

まとめ|変わったのは経歴ではなく、選び方と受け止め方

まとめ|変わったのは経歴ではなく、選び方と受け止め方
経歴は変わっていない。変わったのは選び方と受け止め方

Dさんの半年間を、3つの変化で振り返ります。

  • 順番を決めた:全部を同時にやろうとせず、住まい・睡眠・通院、そして進行中だったお金の手続きという「生活の土台」から着手した
  • 軸を持った:「興味があるか」ではなく「無理なく続けられるか」で選び、体調の条件を絶対条件とNG条件に翻訳した
  • 誠実さを守った:軸に合わない内定は辞退し、持病は「長く続けるため」に開示した

Dさんの職歴は、半年前と何ひとつ変わっていません。12社という数字も、ナルコレプシーという持病も、通ってきた手続きも、そのままです。

変わったのは、選び方と、その受け止め方だけ。それだけで「こんな複雑な職歴の自分を雇ってくれるわけがない」は、「自分はちゃんと頑張れていたんだ」に変わりました。

最後に、Dさんが半年を振り返って書いてくれた言葉を紹介させてください。

一人では前に進めなかった時に寄り添い、時には立ち止まりながら一緒に考えていただけたからこそ、ここまで来ることができました。

いつか、支えていただいた恩を返せるような人になりたい。そして、今度は私も、悩んでいる誰かを支えられる人になりたい。

諦めないで良かった。生きていて良かった。今は、心からそう思います。

Dさん、つらかった時期のことまで率直に話してくださって、本当にありがとうございました。

病名もお金のことも「同じ状況の人に届くなら」と包み隠さず話してくれた勇気が、この記事のいちばんの価値です。このストーリーが、いま立ち止まっている誰かの一歩につながることを願っています 👺✨


👺 パロからのひと言

半年間の伴走を終えて、パロがDさんに伝えたことは2つでした。
焦って妥協しなかったこと。そして、諦めなかったこと。

この2つは、言うのは簡単ですが、実際にやり切るのは本当に難しいことです。とくに、お金や体調の不安が同時にある状態で「焦らない」を選ぶのは、勇気が要ります。パロ自身も転職7回のうち何度かは、焦って決めて後悔しました。

Dさんが内定を得られたのは、パロが何かをしたからではありません。整理して、決めて、怖い場面で正直に話したのは、全部Dさんです。
パロがやったのは、その隣で一緒に言葉を並べたことだけでした。


転職エージェントは「市場を知る手段」として使う

Dさんが実感したように、転職エージェントは「すぐ応募を決めるための相手」ではなく、「市場を知るための手段」として使うと力を発揮します。軸を先に決めておけば、提案に流されることもありません。

① 求人を見比べて「相場観」をつかむ
求人数の多いリクルートエージェントを“市場の図鑑”として使う方法です。同じ職種の求人を何件も見比べると、給与や働き方の相場が見えてきて、目の前の1社が自分の軸に合っているかを判断しやすくなります。

② 求人票に書かれない「社風・働き方の実態」を下調べする
マイナビ転職エージェントは20〜30代の支援に強く、面談が丁寧です。応募前に職場の雰囲気や定着の状況といった“中の情報”を担当者から聞けることがあり、Dさんのように「NG条件に当てはまらないか」を事前に確認する助けになります。

※もしあなたが20代・第二新卒で「経歴に自信がない」と感じているなら、専門のエージェントが心強い味方になります。マイナビジョブ20’sは20代・第二新卒専門で大手マイナビ運営の安心感があり、第二新卒エージェントneoは「経歴に自信がない人」を長く支援してきた実績があります。

どれも完全無料です。なお、持病や体調面の配慮について具体的に相談したい場合は、ハローワークの専門窓口や地域の障害者職業センターなど、公的な相談窓口も選択肢に入れてみてください。お金の手続きについても同じで、制度や配慮の判断は、専門の窓口で確認するのがいちばん確実です。


「何から手をつければいいか分からない」なら、ひとりで抱えなくていい

「仕事も体調もお金も不安で、何から考えればいいのか分からない」
「転職回数が多くて、こんな自分を採用してくれる会社があるとは思えない」
「持病のことを伝えるべきか、隠すべきか、ずっと迷っている」

そんなモヤモヤを、ひと言ずつチャットで整理していきませんか?

Dさんも最初は、自分の軸も強みも、何ひとつ言葉にできていませんでした。「怠けていると思われるのが怖い」と感じながら、それでも一言送ってくれたところから半年が始まっています。
電話や対面が苦手でも大丈夫です。文字でのやりとりだからこそ、落ち着いて振り返れます。

相談実績1,000件以上|90日間じっくり伴走します。
答えを急がなくて大丈夫。あなたのペースで、自分の言葉になるまで一緒に並べていきます。


📚 Dさんの転職ストーリー|テーマ別の深掘り記事

Dさんのストーリーで語られたテーマを、1本ずつ実践的に深掘りした記事を順次公開していきます。

  • 不安が多すぎて動けない時の優先順位の付け方(※深掘り記事①・公開予定)
  • 転職の軸は「興味」より「続けられるか」で決める(※深掘り記事②・公開予定)
  • 持病は転職で伝えるべき?隠すべき?判断の軸(※深掘り記事③・公開予定)
  • 内定を辞退していい。軸に合わない時の判断基準(※深掘り記事④・公開予定)
  • 転職回数が多い自分を責めていた人が変わるまで(※深掘り記事⑤・公開予定)

📚 あわせて読みたい|他の転職インタビュー

パロが伴走した他の方の転職ストーリーにも、それぞれの「納得のいく選び方」が詰まっています。気になるものから読んでみてください。

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