次の会社は決まった。あとは上司に伝えるだけ…なのに、言い出せない。
「給料を上げるから」「今辞められたら困る」と引き止められたら、断りきれる自信がない…
退職を伝える場面は、転職活動の中でいちばん気が重いところかもしれません。
内定まで頑張ったのに、最後の最後で足がすくむ。
そう感じるのは、あなたがこれまで職場の人を大事にしてきたからです。
先に結論をお伝えします。
引き止めに負けない人は、話し方がうまいのではなく、切り出す前に3つのことを決めています。
退職日。伝える理由。そして「何を言われても変えない線」。
この3つが決まっていれば、引き止められても、話は前に進みます。
申し遅れました、キャリア相談士のパロです👺
30代前半までに7回転職して8社を経験し、いまは8社目に腰を据えて働きながら、副業で1,000件を超えるキャリア相談を受けています。
7回の転職では、うまくいった辞め方も、失敗した辞め方も経験しました。
この記事では、私自身の失敗と、相談の場で一緒に退職を乗り切った方々の実例をもとに、引き止めに負けない伝え方をお渡しします。
(ご本人が特定されないよう、内容は一部ぼかしています。結果は一人ひとりの状況によって異なります)
🗺 この記事は 転職完走ロードマップ STEP 6|退職・入社準備 の記事です。→ 前後のSTEPを見る(全行程マップ)
退職の引き止めに負けやすい3つのパターン


相談の現場で見ていると、引き止めで話がこじれる人には共通点があります。
気が弱いからではありません。切り出し方の問題です。
① 「相談」の形で切り出してしまう
「実は、辞めようか迷っていて…」
こう切り出すと、上司は「まだ迷っているなら、引き止められる」と受け取ります。
退職は相談ではなく、決まったことの報告として伝えるのが基本です。
② 退職日があいまいなまま話す
「できれば年内くらいに…」と伝えると、「じゃあ、繁忙期が終わる春まで待ってくれないか」と返されやすくなります。
日付が決まっていないと、そこが交渉の場所になってしまいます。
③ 引き止めの条件を聞いてから考えようとする
「給料を上げるから」「希望の部署に異動させるから」
こうした話を聞いてから考えるつもりでいると、気持ちが大きく揺れます。
内定先との約束があるのに、揺れたまま時間だけが過ぎていきます。



3つとも、「まだ決めきれていない」ことが相手に伝わってしまうパターンです。
逆に言えば、切り出す前に決めておけば防げます。
切り出す前に決める3つのこと


ここからが本題です。
上司の前に座る前に、次の3つを決めておいてください。
① 退職日|入社日から逆算して、日付で決める
最初に決めるのは、退職日です。
次の会社の入社日から逆にたどり、引き継ぎ・有給休暇の消化・手続きにかかる日数を引いて、「この日で辞める」という日付を出します。
このとき、就業規則にある「退職の申し出は◯か月前まで」という決まりも確認しておきましょう。
一般的には1〜2か月前です。引き継ぎが重い仕事なら、もう少し余裕を見ておくと安心です。
以前、接客の仕事から法人営業への転職を決め、引っ越しを伴う転職をされた方の相談を受けました。
内定のあと、私が退職の進め方としてお伝えしたのが、次の3つの原則です。
退職の報告は迅速に。遅らせても、お互いにメリットはありません。
退職までのスケジュールを組んでおく。
会社に譲る余裕は持ちつつ、次の会社の入社日は絶対にずらさない。
引き止められても、退職の撤回は絶対にしない。
(相談の場で私がお伝えした内容より)
その方は上司に退職を伝え、円満に合意までたどり着きました。
「会社には譲る余裕を持つ。でも入社日は動かさない」。
この線引きが、話をこじらせない鍵になります。
② 伝える理由|前向きな一言に絞る
退職の理由は、本音を全部話す必要はありません。
不満を並べると、「そこを直すから残ってくれ」と、引き止めの材料を渡すことになります。
おすすめは、「次にやりたいこと」を一言で伝えることです。
たとえば「法人向けの営業に挑戦したくて、次の仕事を決めました」のように、今の会社では叶えにくい方向を短く伝えます。
本音を前向きな言葉に置き換えるやり方は、転職理由の伝え方|本音を翻訳する3ステップにまとめています。
面接向けの記事ですが、上司に伝える理由づくりにもそのまま使えます。
③ 変えない線|何を言われても変えないことを決める
3つ目が、いちばん大事です。
「どんな条件を出されても、退職そのものは撤回しない」と、先に自分の中で決めておきます。
先ほどの方には、こうもお伝えしました。
誠実な対応を心がける。でも、最悪円満にならなくても良い!くらいで考えよう
(相談の場で私がお伝えした言葉より)
円満に辞められるのが一番です。
ただ、「絶対に円満でなければ」と思い込むと、相手の言葉を全部受け止めようとして、断れなくなります。
誠実さは尽くす。そのうえで、決めたことは変えない。
この順番を忘れないでください。
退職は「いつ・誰に・何と言う」か【例文】


3つが決まったら、いよいよ伝えます。
いつ|内定を承諾し、入社日が決まってから
伝えるのは、内定を承諾して、入社日が決まってからです。
内定が出る前に伝えてしまうと、もし決まらなかったときに、居づらい職場に残ることになります。
ボーナスが気になる場合は、就業規則で支給の条件(支給日に在籍している必要があるか等)を先に確認しておくと、伝える日を決めやすくなります。
伝える日は、上司が落ち着いて話を聞ける時間を選びます。
会議の直前や忙しい時間帯は避けて、「少しお時間をいただけますか」と、先に時間をもらうのがおすすめです。
誰に|直属の上司に、いちばん最初に
最初に伝えるのは、直属の上司です。
仲のいい同僚や人事に、先に話すのはやめておきましょう。
上司が人づてに知ると、それだけで話がこじれやすくなります。
何と言う|最初の一言だけ、台本を用意する
切り出しの一言だけは、事前に書いておくと楽になります。
💬 切り出しの例文
お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。
突然のご報告になりますが、◯月◯日付で退職させていただきたいと考えています。
次の仕事が決まっていて、入社日も決まっています。
引き継ぎは責任を持って進めますので、よろしくお願いいたします。
ポイントは、「迷っている」「相談したい」という言葉を入れないことです。
決まったことの報告として、日付まで言い切ります。
ちなみに私は、若い頃にこの逆をやって失敗しています。
上司との面談で「辞めちまえ」と言われ、カッとなって、その場で「辞めます」と返してしまったんです。
次の仕事が決まっていないまま退職が決まり、焦って次の会社選びも雑になりました。
そのときの話は、勢いで退職して後悔した話に書いています。
反対に、後年は在職中に軸と準備を整えてから退職を伝えました。
その次の職場では、いま6年以上続いています。
同じ退職でも、感情の日に伝えるのと、準備を整えて伝えるのとでは、その後がまるで違います。
伝えるのは、決めた日に、冷静に。
これが、7回転職した私のいちばんの教訓です。
引き止めのパターン別・断り方【例文】


引き止めの言葉には、よくある型があります。
型ごとに返し方を決めておけば、その場で慌てずに済みます。
「給料を上げるから残ってほしい」
いちばん気持ちが揺れやすいのが、これです。
考えてほしいのは、辞めたい理由が、その条件で本当に解決するかです。
お金以外の理由で辞めるなら、給料が上がっても、しばらくすると同じ気持ちに戻りがちです。
💬 例文
ありがたいお話ですが、条件の問題ではなく、次にやりたい仕事の方向で決めました。気持ちは変わりません。
「後任がいない」「今辞められると困る」
責任感の強い人ほど、この言葉が刺さります。
ただ、人の手配は会社が考えることです。
あなたにできるのは、引き継ぎを丁寧にすることです。
💬 例文
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。◯日までに引き継ぎの資料をまとめて、後任の方にしっかりお渡しします。
「退職日を延ばしてくれないか」
ここは、決めておいた退職日と入社日の線が生きる場面です。
最終出社日や有給の使い方など、譲れる範囲は相談に乗りつつ、入社日だけは動かさないと伝えます。
💬 例文
入社日が決まっているので、退職日を延ばすことは難しいです。その代わり、引き継ぎの段取りは前倒しで進めます。
感情的に怒られる・責められる
感情的に責められることもあります。
そんなときは、反論せずに最後まで聞き、感謝と結論だけを繰り返します。
私のように売り言葉に買い言葉で返すと、話が壊れてしまいます。
💬 例文
ここまで育てていただいたことには、本当に感謝しています。そのうえで、決めたことです。



どの型でも、返し方の骨組みは同じです。
「感謝・結論・代わりにできること」。
この3つだけ押さえておけば大丈夫です。
退職日の調整で揉めそうなときは、その場で決めない


退職を伝えたあと、退職日をめぐって会社と考えが食い違うことがあります。
会社は早めに区切りたい。こちらは、引き継ぎや有給の消化まで含めて、余裕のある日にしたい。
以前、有給休暇がたくさん残っている状態で退職を伝えた方から、相談を受けました。
会社からは、本人の希望より早い退職日を示されていました。
そのとき私がお伝えしたのは、次の2つです。
- その場で即答せず、「退職日については改めてご報告しますので、今日は一旦持ち帰らせてください」と伝える
- 引き継ぎの段取りを自分で作って示し、希望の日を打診する。それでも会社が強く求めるなら、入社日に響かない範囲で、円満を優先して折り合いをつける
その方は、引き継ぎの計画を自分で作って会社に示し、最終出社日と有給の使い方について了承を得ました。
残りの期間は、上司から色々と言われて、居づらいこともあったそうです。
それでも最終出社の日には、こんな報告をくれました。
色々と言われることもありましたが、最後、スッキリしました!
(ご本人からの報告より)
退職日の話は、その場で決めなくて大丈夫です。
持ち帰って、段取りを見せてから話す。
これだけで、相手のペースに飲まれにくくなります。
「変えない線」と矛盾しないか、気になった方もいるかもしれません。
変えないのは、退職そのものと入社日です。
最終出社日や有給の使い方のように、そこに響かない部分は、円満のために譲っていいところです。
残っている有給休暇は、退職日までの勤務日の範囲で使えます。
引き継ぎの計画とセットで相談すると、話が通りやすくなります。
よくある3つの質問
Q. 退職は、法律上は何日前に伝えればいいですか?
正社員のように期間の定めのない雇用なら、民法では、退職の申し入れが会社に届いてから2週間で雇用契約が終わるとされています。
会社の承諾がなくても、辞められるということです。
ただし、円満に辞めたいなら、就業規則の期限に合わせるのが現実的です。
また、契約社員など期間の定めがある雇用は扱いが違うので、契約書や就業規則を確認してください。
くわしくは、厚生労働省の「確かめよう労働条件」退職に関するページで確認できます。
(2026年10月時点の内容です)
Q. 引き止めがしつこくて、話が進みません
口頭で伝えても話が進まないときは、退職届を書面で出しましょう。
「辞めさせない」「損害賠償を請求する」などと強く迫られた場合は、日時と内容を記録しておいてください。
都道府県の労働局などにある総合労働相談コーナーでは、こうした退職のトラブルを無料で相談できます。
Q. 怖くて、どうしても言い出せません
その気持ちは、とても自然なものです。
おすすめは、先に「伝える日」を決めて、上司に時間をもらう約束を入れてしまうことです。
約束が入れば、あとは台本どおりに話すだけになります。
それでも心身がつらい状態なら、我慢より、自分を守ることを優先してください。
辞めるかどうか自体に迷っているなら、先に仕事辞めたい30代へ|後悔しない5つの判断基準で、辞める前の確認をしてみてください。
まとめ|退職の引き止めは、切り出す前の準備で決まる


最後に、要点をまとめます。
- 引き止めに負けやすいのは、「相談」の形で切り出す/退職日があいまい/条件を聞いてから考える、の3つ
- 切り出す前に、退職日・伝える理由・変えない線の3つを決める
- 伝えるのは、内定を承諾して入社日が決まってから。直属の上司に、決まったことの報告として
- 引き止めへの返し方は「感謝・結論・代わりにできること」
- 退職日で揉めそうなら、その場で決めずに持ち帰る
退職を伝えるのは、怖いことです。
でも、決めることを決めてから話せば、引き止めは「断れないもの」ではなくなります。
内定まで頑張ってきたあなたなら、最後の一歩も踏み出せます。
感謝は伝える。決めたことは変えない。
それで大丈夫です。
退職のあとは、いよいよ入社です。
入社してから最初の1か月の過ごし方は、転職して入社1ヶ月にやること5つにまとめています。
退職の伝え方、一緒に準備しませんか
「上司への切り出し方を、一緒に考えてほしい」
「引き止められたときの返し方に、自信がない」
そんなときは、気軽に声をかけてください。
パロの公式LINEでは、チャットで転職の相談を受けています。
伝える前の台本づくりも、一緒にやりましょう。
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