子どもとの時間を、もう少し増やしたい。
でも転職して年収が下がったら、家計が回らなくなるかもしれない…
そもそも子持ちって、転職で不利なんじゃないの?
子育てをしながらの転職は、悩みが一気に増えます。
自分のキャリアだけでなく、家族の暮らしまで背負って決めることになるからです。
先に結論をお伝えします。
子育て中の転職で後悔する原因の多くは、会社選びの失敗ではなく、条件の決め方にあります。
年収をどこまで下げてよいか。
両立のために、何が必要か。
いつ動くか。
この3つを先に決めておけば、後悔はかなり減らせます。
申し遅れました、キャリア相談士のパロです👺
30代前半までに7回転職して8社を経験し、いまは8社目に腰を据えて働きながら、副業で1,000件を超えるキャリア相談を受けています。
相談を受けていると、仕事と子育ての両立は、特によく聞くテーマのひとつです。
この記事は、私自身の子育ての話ではありません。
相談の場で一緒に悩んできた方々の実例をもとに、後悔しないための決め方をお渡しします。
(ご本人が特定されないよう、内容は一部ぼかしています。結果は一人ひとりの状況によって異なります)
子育て中の転職で後悔しやすい3つのパターン


相談の現場で、子育て中の方がつまずく場所は、だいたい決まっています。
① 年収の線を引かないまま、応募を重ねてしまう
「子どもとの時間を優先したい。でも年収が下がりすぎるのは困る」
この気持ち自体は、とても自然です。
問題は、「どこまでなら下がってもいいか」が決まっていないことです。
線がないまま応募を続けると、内定が出ても「この年収で大丈夫かな」と迷い、辞退を繰り返してしまいます。
② 「子育てしやすい職場」を、求人票の言葉だけで信じてしまう
求人票の「育児と両立しやすい環境」「時短勤務あり」は、うれしい言葉です。
ただ、制度があることと、実際に使えることは別です。
制度はあっても、使っている人がほとんどいない。
定時で帰る人が、部署にひとりもいない。
入社してからそれが分かると、後悔につながります。
③ 家族の予定と、内定の期限がぶつかる
保育園の入園や転園、引っ越し、パートナーの仕事の都合。
子育て中の転職は、自分ひとりの予定では決められません。
家族の予定を後回しにして進めると、内定の返事の期限が、家族の大事な予定と重なることがあります。
焦って決めた転職ほど、あとから「もう少し考えればよかった」となりがちです。



3つとも、あなたの努力が足りないから起きるわけではありません。
決める順番の問題です。
ここからは、その順番をお渡しします。
決め方①|年収の「下限」を数字で決める


1つ目は、年収の線を「気持ち」ではなく「数字」で決めることです。
200社に応募し、内定6社を辞退した方の決め手
40代後半で子育て中の方から、相談を受けたことがあります。
収入よりも、子育てとの両立を優先したい。
ただ、収入が大きく下がるのも困る。
そんな状態で、転職活動をされていました。
約5か月で、応募はおよそ200社。
内定は6社まで出ましたが、条件が合わず、すべて辞退していました。
迷いの中心は、どこまで年収が下がってよいか、線が引けていないことでした。
私がお伝えしたのは、次の2つです。
- 下がっても大丈夫な収入を、数字に出しておく。提示された条件がその数字を下回るなら、辞退も仕方ない
- 入社したときの年収だけでなく、その後に伸びる見込みも調べる
その後、7社目の営業事務で条件の提示を受け、受諾されました。
試用期間中でも決めておいた最低ラインを上回り、試用期間のあとは昇給も約束されていました。
土日祝が休みで、子育てとの両立もできる会社でした。
ご助言いただいた『下限を数字で決める』『将来の伸びを確認する』を実践して意思決定できました
(ご本人からの報告より)
賞与は実績しだいで出ない年もあること。
試用期間中は有給休暇がないこと。
こうした注意点も、ご本人は分かったうえで決めていました。
数字で線を引いたからこそ、リスクを知ったうえで「これなら大丈夫」と言えたのだと思います。
下限の決め方は3ステップ
下限は、難しい計算をしなくても出せます。
- 今の家計で、毎月どうしても出ていくお金(住居費・食費・保育料・教育費の積み立てなど)を書き出す
- それを払っても困らない毎月の手取りを出し、年収のおおよその目安に直す
- その金額を「これを下回ったら辞退する線」として、パートナーとも共有しておく
手取りを年収に直すときは、今の給与明細で「手取り÷額面」の割合を出し、その割合で割り戻します。
世間の平均より、自分の明細の割合を使うほうが、家計に合った目安になります。
ポイントは、この数字を応募の前に決めておくことです。
内定が出てから考えると、どうしても「せっかく受かったし」と気持ちが揺れます。
年収が下がる選択そのものは、悪いことではありません。
年収が下がる転職を家族とどう話し合ったかは、年収200万ダウンを家族にどう伝えた?で、実際にその道を選んだ方の話を紹介しています。
決め方②|「両立の条件」を3つに絞り、面接で確かめる


2つ目は、両立に必要な条件を絞り込み、入社する前に確かめることです。
全部は満たせない。だから3つに絞る
両立のための条件は、挙げ始めるとたくさん出てきます。
- 保育園のお迎えに間に合う時間に退勤できる
- 残業が少ない、または調整できる
- 子どもの急な発熱のときに、休める・抜けられる
- 在宅勤務やフレックスが使える
- 通勤時間が短い、転勤がない
これを全部満たす会社は、なかなかありません。
だからこそ、「これだけは譲れない」を3つまでに絞ることが大事です。
以前、保育園の送迎ができるかどうかが、転職の条件に直結している方の相談を受けました。
年収は今と同じくらい、残業は1〜2時間程度まで、年間休日は120日以上。
在宅勤務やフレックスは「あればうれしい」として、譲れない条件とは分けていました。
条件がはっきりしているぶん、紹介される求人がなかなか響かず、「条件を曲げるべきか」と揺れていました。
そのとき私がお伝えしたのは、条件を下げるのではなく、時間をかけて探すという選択です。
今の仕事を続けながら探せているなら、ボーナスの時期まで延ばして、じっくり探してもいい。
在職中の強みは、合わない会社を断れることです。
譲れない条件の整理には、「NG条件リスト」の作り方も使えます。
働きながらの進め方は、在職中の転職活動の進め方にまとめています。
「制度があるか」より「使っている人がいるか」を聞く
条件を絞ったら、次は確かめ方です。
見るべきなのは、制度の有無よりも、実際にその働き方をしている人がいるかです。
面接の逆質問では、たとえばこんな聞き方ができます。
- 「子育て中の方は、部署でどんな働き方をされていますか?」
- 「お子さんの急な発熱のとき、チームではどう調整していますか?」
- 「定時ごろに退社される方は、どのくらいいらっしゃいますか?」
面接で聞きにくいときは、内定後の面談で確認しても大丈夫です。
入社を決める前に確かめておきたいことは、内定承諾に迷う時の判断基準でも詳しく書いています。
制度の使われ方には、職場の空気がそのまま出ます。
職場選びの見方は、安心して働ける職場の条件4つも参考にしてください。
決め方③|家族の予定から、動く時期を逆算する


3つ目は、転職の時期を、家族のカレンダーから決めることです。
先に「家族の予定表」を書く
動き出す前に、これから半年〜1年の家族の予定を書き出してみてください。
- 保育園の入園・転園の申し込み時期
- 引っ越しの予定
- パートナーの仕事の繁忙期や、転職の予定
- 子どもの行事や、入学などの節目
そのうえで、「いつまでに内定を決めたいか」を逆算します。
転職の予定を家族の予定に合わせるのであって、その逆ではありません。
内定の期限が重なったときの対処
初めての転職で、パートナーも転職活動中、引っ越しと保育園探しが同時に進んでいた方の相談を受けたことがあります。
第一志望の結果が出る前に、別の会社の内定の返事の期限が来てしまう状況でした。
こういうときに使える手段は、主に3つです。
- 企業に直接、返事の期限を少し延ばせないか相談する
- エージェント経由なら、「本当に延長できないか」を改めて確認してもらう
- 第一志望の会社に、選考を少し早められないか相談する
「いったん承諾して、あとで辞退する」という方法もありますが、私はおすすめしていません。
その方にも、後ろめたい気持ちになるなら選ばないほうがいいとお伝えしました。
家族の予定が詰まっている時期ほど、気持ちの負担を増やさない選び方をしてほしいと思っています。
パパの転職で見落としやすいこと


子育てと転職の情報は、ママ向けのものが多いのが現状です。
でも相談の場には、父親の立場で悩む方もたくさんいます。
「家族との時間」を軸にしていい
男性の場合、「家族のために年収を上げなきゃ」と、自分の希望を後回しにしがちです。
でも、子どもとの時間をつくりたいという気持ちも、立派な転職の軸です。
まだお子さんがいない段階から、家族との時間を軸にした方もいます。
以前、これから子どもを持つことも考えながら、転職の方向性が定まらずにいた男性の相談を受けました。
話を聞きながら本人の言葉を集めて、こんな「生活の願い」として書き出しました。
- 家族や友達との時間を作りたい
- 将来子どもができたときに、遊びや学習の時間を多く作りたい
- 子どものやりたいことを、お金の心配なくやらせてあげたい
願いが言葉になると、求人を見る目が変わります。
その方は、そこから方向性を絞り込み、新しい業界への転職を決めました。
今まさに子育て中の方なら、なおさら、この軸を大事にしていいと思います。
送迎や家事の分担も、遠慮なく条件に入れる
お迎えや送迎を分担しているなら、それは立派な転職の条件です。
「定時で帰りたいとは言いにくい」と遠慮して条件から外すと、入社後に家庭とのやりくりが苦しくなります。
決め方②の3つの条件に、遠慮なく入れてください。
よくある3つの質問
Q. 子育て中の転職は、不利になりますか?
正直に言うと、子育て中であることを気にする会社は、まだあります。
本来は子育てで区別しない選考であるべきですが、現実にはそうなっていない場面もあります。
そのうえで、私がよくお伝えしているのは次の2つです。
- 履歴書の任意の項目は、書かずに通せるなら、書かなくていい
- 子育てを理由に不利に扱う会社なら、入社する前に分かってよかったと考える
「書かなくていい」と、決め方②の「面接で確かめる」は矛盾しません。
書類の段階では伏せておいて大丈夫です。
両立の条件は、面接の後半や内定後の面談で確かめれば間に合います。
両立したいことを伝えるときは、「できないこと」より「どう働けるか」を中心に話すと伝わりやすくなります。
たとえば「夕方以降の対応は難しいですが、朝は早めに動けます」のように伝えます。
Q. 転職先でも、すぐに時短勤務を使えますか?
会社によって違うので、内定の前に必ず確認してください。
法律では、3歳未満の子を育てる人のために、短時間勤務の制度(1日原則6時間)を設けることが会社に義務づけられています。
ただし、会社が労使協定を結んでいれば、入社して1年未満の人を対象から外せます。
つまり、転職してすぐには時短を使えない会社があります。
また2025年10月からは、3歳から小学校に入るまでの子を育てる人のために、会社が「始業時刻の変更」「テレワーク」「短時間勤務」などから2つ以上の働き方を用意し、本人が選べるようになりました。
ただ、どれを用意するかは会社が決めるので、3歳以降も時短が使えるとは限りません。
制度の詳しい中身は、厚生労働省の短時間勤務等の措置と柔軟な働き方を実現するための措置で確認できます。
(2026年10月時点の内容です)
Q. 転職するなら、いつ動くのがいいですか?
決め方③のとおり、家族の予定から逆算するのがいちばんです。
そのうえで、今の仕事を続けながら動けるなら、在職中に始めるのがおすすめです。
収入が続いているので、条件を下げずに待てます。
子育て中ほど、この「待てる」が大きな支えになります。
まとめ|子育て中の転職は、「条件の線」を先に引く


最後に、要点をまとめます。
- 後悔しやすいのは、年収の線がない/求人票の言葉を信じる/家族の予定とぶつかる、の3つ
- 決め方①:下がっても大丈夫な年収を、応募の前に数字で決める
- 決め方②:両立の条件は3つに絞り、「使っている人がいるか」で確かめる
- 決め方③:家族の予定表を先に書き、そこから動く時期を逆算する
- パパも「家族との時間」を軸にしていい。送迎も立派な条件
子育てをしながらの転職は、決めることが多くて疲れます。
だからこそ、先に線を引いておくと、迷う回数がぐっと減ります。
200社に応募しても決められなかった方が、下限を数字で決めたことで、納得して一歩を踏み出せました。
条件の線は、あなたと家族を守る道具です。
子育てとの両立、一緒に整理しませんか
「何を条件にすればいいか分からない」
「家族の予定と転職の予定が、うまく組めない」
そう感じたら、気軽に声をかけてください。
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